エンコーダは動作原理によって「光学式」と「磁気/電気誘導式」に大きく分けられます。光学式エンコーダはスリットを通過した光パルス信号を検出し、電気信号に変換出力するのが特徴。磁気式に比べて精度と分解能を高めやすいというメリットがあり、MRI装置やリニアモーター型アクチュエーターなど強い磁界が発生する用途にも使用できます。
光学式エンコーダは、構造によって「透過型」と「反射型」の2つのタイプに大きく分けられます。それぞれのタイプの特徴やメリット・デメリット、用途について見ていきましょう。
透過型の光学式エンコーダは、光を透過/遮断するコードホイールを発光素子と受光素子で挟みこむ構造をしているのが特徴。一般的に販売されているエンコーダの多くが透過型タイプです。透過型の光学式エンコーダを用いることで、発光素子から発せられた光がコードホイールのスリットを透過するかどうかを受光素子で検出できます。
透過型の光学式エンコーダが得意とする用途は、一般産業機器と各種モーターです。
反射型の光学式エンコーダーは、発光素子と受光素子を同一平面上に配置し、その上部に光を反射・非反射させるコードホイールを設置する構造をしているのが特徴。発光素子から発せられた光がコードホイールで反射するかどうかを受光素子で検出します。
反射の光学式エンコーダが得意とする用途は、携帯型工業製品と各種モーターです。
光学式エンコーダの分解能は、コードホイールのスリット数によって決まります。コードホイールのスリット数を増やせば高分解能化できますが、エンコーダの小型化と高分解能化を両立させるには1つあたりのスリットの面積を小さくしないといけません。そうなると構成部品を組み立てるのに高い精度が求められるため、物理的な限界をどこかで迎えます。
そこからさらに高分解能化するには、出力信号のA相・B相をパルス信号じゃなく疑似正弦波信号とし、電気的に内挿倍する方法(電気内挿)をとります。光学式エンコーダを構成する発光素子・受光素子・コードホイールを最適化して、疑似正弦波信号のひずみを小さくすることにより、高分解能・高精度なエンコーダを実現することが可能です。
発光素子とは電気信号を光信号に変換する素子のことで、光学式エンコーダを構成する発光素子には安価な赤外光LEDを使用するのが一般的です。ただ、光の拡散を抑えるという目的で、赤外光よりも波長が短い有色LEDが使われる場合も。高性能・高分解能が要求される場合だと高価なレーザーダイオードが使用されることもあり、用途に応じて使用される発光素子が異なります。
受光素子とは、光信号を電気信号に変換する素子のことです。代表的なものに太陽電池があげられます。受光素子には、シリコンやゲルマニウム、インジウムガリウムリンなどの半導体材料を素材としたフォトダイオードもしくはフォトトランジスタを使用するのが一般的です。
コードホイールとは、発光素子が発する光を通過・遮断させるためのスリット(穴)をあけた円盤スケールのことです。エンコーダが組み込まれたコードホイールのスリットを読み取ることで、位置動作を精密に制御することができます。
用途によって使用されるコードホイールの材質が異なり、たとえば産業分野で使用されるのは振動や温湿度の耐性が強い金属製です。そのほかにも、民生用途では安価で大量生産に向いている樹脂、高精度・高分解能が要求される用途ではガラスがコードホイールの材質に使用されます。
コードホイールのスリットを通った光は受光素子に入力されますが、入力される光の通過・遮断を明確にしないといけません。そのため、コードホイールと向かい合わせの位置に固定スリットが配置される場合もあります。
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