このページではエンコーダの基礎知識として、一般的な技術用語や基礎用語を解説します。レゾルバやエンコーダについて考える際の用語集としてご活用ください。
最大「2000」の内挿分割数を備えている、光学式インクリメンタルエンコーダ(ATOM)用のデジタルインターフェースです。
オーディオゲインコントロール(Automatic Gain Control)の略です。1Vppの信号振幅を安定的に維持するための信号処理機能を意味します。
EMI(Electro-Magnetic Interference) は「電磁波障害」を意味しており、エンコーダの周辺領域で発生している電気ノイズの総称です。EMIが多く発生する環境要因としては、モータケーブル内における電流の高速切り換えや接続不良に伴うスパーク、アースの接続不良などが考えられます。
なお、その他にも溶接加工や放電加工などが周辺で行われていると、EMI環境になりやすい可能性が高まるでしょう。
常に変化している連続的な物理量を意味しており、エンコーダの分野では一般的にサーボドライバやコントローラで内挿分割された1Vpp信号、または11μA信号を指しています。
アブソリュート方式及び、それを活用したアブソリュートエンコーダの略称です。絶対値エンコーダとも呼ばれ、電源が投入された時点で現在の絶対角度をアブソリュートコードやアナログ電圧などで出力します。
アブソリュート形のロータリエンコーダ(アブソリュートエンコーダ)のコード及びコード表です。バイナリコードやグレイコード、余りグレイコード、BCDコードといったコード表や表記法が分類されています。
アッペの原理によって測定される際に生じる誤差を意味しています。なお、アッペの原理では測定対象物とメモリを同一軸上に配置することで、測定誤差を最小化できると考えています。アッペ誤差はエンコーダ軸が作動機から外れている際に生じる測定値の誤差です。
インクリメンタルエンコーダにおいて不具合やエラーといった望ましくない事態が発生した際、異常を検知して出力される信号です。アラーム信号は複数の状況で発生する可能性があり、低信号・高信号・過速度・過剰リサジュオフセットといった状況が想定されます。
文字通り角度の測定を意味します。ディスクスケールやリングスケールといったエンコーダスケールを用いて角度を測定します。部分的な円弧測定についてはドラムやシャフトへリニアテープを巻き付けるといった工夫で対応可能です。
ロータリエンコーダの回転起動と停止時の慣性力の大きさを示すものです。
ロータリエンコーダの軸回転を起動するために必要な回転モーメントを指しており、通常回転時は一般的に起動トルクの値よりも低い値を示します。軸に防水用シールが設けているような場合は起動トルクも高い数値になります。
標準化団体などによって規格化され公式に認定されている仕様でないものの、一般的に業界内で普及していることで、実質的に標準仕様として活用されている基準や規格、数値です。「デファクトスタンダード」と呼ばれることもあります。
時計と同じ右回りの回転方向(Clock Wise)を意味しています。なお、時計回転とは逆方向への回転の場合「CCW(Counter Clock Wise)」として表示されます。
信号が応答可能な範囲において最大となる信号周波数です。
エンコーダを取り付ける方法の1種です。サーボマウント用金具を使ってフランジ部分を固定します。仮固定状態で回転方向の位置調整を行うことが可能です。
ひとつの信号周期内に発生する測定誤差のことです。エンコーダの出力信号のリサジュー形状やセンタリングが不完全であると周期誤差の原因になります。大きな周期誤差は耳に聞こえるほどのノイズを発生させ、機器が高温になるリスクが上昇。検出精度を低下させる原因にもなります。
軸を回転させた際に生じる、A相とB相の信号相互間における立ち上がり間もしくは立ち下がり間の時間ずれ量を示す用語であり、信号1周期時間に対する比率や1周期(360度)をベースとした電気角で表示します。
複数の出力回路が存在しており、オープンコレクタ出力、電圧出力、ラインドライバ出力、コンプリメンタリ出力といった出力回路が挙げられます。トランジスタの内容や構成によって出力回路が異なり、ラインドライバ出力の場合であれば専用ICとしてラインレシーバなどが信号受信に必要です。
インクリメンタル形において出力される信号数を指します。1相式・2相式・3相式にそれぞれ分類されており、1相であればA相、2相であればA・B相、3相であればA・B・Z相がそれぞれ対応します。
一定の速度で回転させている軸から出力される、平均パルス周期時間と、1周期のHレベル時間の比を意味しています。パルス周期時間をT1、Hレベル時間をT2とした場合、出力デューティ比は「T2/T1」です。
信号の送受信を行う際に発生する時間的なズレや誤差、揺らぎなどを意味しています。ジッタが発生する原因には、出力側や入力側の装置の問題や伝送経路の不具合などが考えられます。
データを時系列的に単一伝送ラインから出力する方式です。多ビットデータを同時出力するパラレル伝送に対して用いられる言葉でもあります。シリアル伝送は配線省略などを目的として実施され、受信側でパラレル信号に変換します。
シングルトラックは、位置や回転情報を検出できる1つのトラック(エンコーダの円盤状の線や模様)・目盛りのこと。中でも大まかな位置とインクリメンタル位相情報の両方を一度に検出できるものを指します。従来のアブソリュートエンコーダでは高精度の位置情報を検出するために2本のトラックを使用しており、2つの情報を同時に読み取る必要がある上、少しでもズレていると誤差が生じてしまう懸念がありました。シングルトラックは1つのトラックで2つの情報を取得でき、より精度の高い検出に繋がる魅力があります。
測定位置が真の値に対してどの程度まで近いかを表す用語です。分解能や繰り返し精度とは区別して使われます。
光学式エンコーダのリードヘットやエンコーダインターフェースに取り付けられているLEDのこと。光学式エンコーダはディスクを通り抜けるLEDライトの変化を読み取って回転情報を得ていますが、その際に利用されるものです。
光学式エンコーダはセットアップLEDを備え、その光パルスの受光素子を検出、電気信号に変換して出力する仕組みにしたことで、セットアップ用の装置やオシロスコープを用いなくてもその場で回転情報を確認できるようになっています。
出力された信号波形(パルス)が10%から90%まで上昇する時間、あるいは90%から10%まで低下する時間をそれぞれ「立ち上がり時間」・「立ち下がり時間」と呼びます。両者にズレがあると出力位相差として現れます。
中空穴が設けられたロータリエンコーダであり、ホローシャフトタイプとも呼ばれます。駆動軸を中空穴へ直接に接続できるためカプリングを必要としません。
連続的でなく、「ハイ」と「ロー」の2種類の状態で存在している信号、もしくはそれを伝達するための情報です。コンピュータや数学の分野では「0」と「1」で表現されることもあります。エンコーダの分野で「デジタル」と行った場合、通常はデジタルエンコーダの出力を意味しています。
エンコーダを、信号を受信する機器へ接続する作業を指しています。なお、エンコーダを電気接続する場合は、電源やアース線、信号といったそれぞれの要素を接続することも総称していることが通常です。
電気接続をする場合はエンコーダの出力と受信機の入力の互換性を確認してください。
電気ノイズが発生しやすい環境でもエンコーダが正確に動作するための能力です。エンコーダの周辺では様々な影響によって電気ノイズが発生するため、正確な信号検知には電気ノイズに対する耐性を高められるかどうかが関与します。
1回転させた軸から出力される、インクリメンタル信号のパルス数、もしくはアブソリュート形の絶対番地数を意味します。
金属素材で製造されたエンコーダの回転板(ディスク)です。ガラスディスクよりも耐衝撃性に優れています。
汚れている部分や異物で隠れている部分を継続的に読み取れるエンコーダの能力です。汚れに対する耐性の優劣については、AGC搭載の電子部品と光学機構の性能や精度によって決まるとされています。
軸許容力はそれぞれ「ラジアル:直角方向の荷重」と「スラスト:軸方向の荷重」によって分類されて表記されます。ラジアル及びスラストの大きさによって軸受けの寿命が影響されます。