長時間にわたり厳しい条件で動作ができるため、産業用モーター、サーボ、EVなど、過酷な環境で使用されているレゾルバ。ここでは、レゾルバとエンコーダの違いについてまとめています。
EV(電気自動車)の動力源である走行用モーター回転角度センサの一種で、回転物の回転角度を検出するセンサです。役割はエンコーダと同じですが、鉄心とコイルのみという、エンコーダよりもシンプルな構造で耐環境性にすぐれているため、振動や熱、油などが発生するHEV(ハイブリッド車)・EV用、建設機械用のモーターには、レゾルバが採用されることが多いようです。
レゾルバは、モーターに合わせてローターが回転し、回転するローターと固定されたステーターのリアクタンスによって発生する電気信号を使って角度を検出。電気振動をモーターに送り、回転数を制御します。トランスの原理を応用したものですが、普通のトランスが1次巻線と2次巻線の変圧比を一定に取るのに対し、レゾルバは回転角度で変圧比を変化させます。それにより、2次巻線には角度で変調された信号が出力されるため、それを検出することで回転角度が求められるという仕組みになっています。
レゾルバにはいくつかの種類がありますが、代表的なものが、2相励磁1相出力タイプと1相励磁2相出力タイプです。2相励磁1相出力タイプは、マイコン内蔵のカウンタなどを使用することでシンプルな回路で角度検出ができ、1相励磁2相出力タイプは、それほど位相に気を配らなくていいという利点があります。
レゾルバ同様、回転物の回転角度をセンサで検出する装置です。エンコーダのセンサの検出には、磁気式や光学式などさまざまな方法があります。
また、エンコーダには、リニアエンコーダ、ロータリーエンコーダなどの種類がありますが、リニアエンコーダは直線軸の移動量を検出するものであり、回転角度を検出するのは、ロータリーエンコーダです。ロータリーエンコーダは一般的に、モーターと組み合わせて、モーターの回転方向や位置、回転数を制御するという働きがあります。
さらに、ロータリーエンコーダには、インクリメンタル方式とアブソリュート方式があります。インクリメンタル方式は、相対的な位置や角度を計測する方式で、工作機械、ロボット、計測機器のサーボモータの速度制御、位置制御、回転数表示、パルス発生器などに使用されています。アブソリュート方式は、回転角度の絶対値を出力するエンコーダで、工作機械やロボットにあるサーボモータの位置制御などに使用されます。
近年のEVにおける課題は「いかに航続距離を伸ばすか」だといわれています。インバータやバッテリの開発も重要ですが、「与えた指令・電力通りにモーターが回転すること」が、簡単かつ確実に航続距離を伸ばすポイントになります。
レゾルバの役割は、走行用モーターを効率よく制御して消費電力を抑えることです。EVの走行状況に応じてモーターを制御するためには、モーターの磁極位置の検出と正確な回転速度を知ることが重要であり、レゾルバはそのセンサとして働きます。
しかし、レゾルバとモーターの角度にずれが生じると、制御効率に影響が出ます。そのため、レゾルバとモーターの位相ずれを計測して調整することは、とても重要な工程になると考えられています。
レゾルバの一番のメリットは、埃や油、温度、衝撃などがある厳しい状況下であっても、それに耐えうる頑丈な機械装置であるということ。広い温度範囲を持ち、耐環境性に優れている上、高速回転が可能で、高い信頼性があります。
また、レゾルバの基本原理はトランスであるため、信号のアイソレーションと電気的干渉の同相ノイズ除去を実現することができます。ノイズに強いため、長距離伝送も可能。コンパクトな組み込みができるというところもレゾルバの利点です。
レゾルバのもつこれらの特長は、角度測定において優れたメリットとなり、重工業や航空宇宙など、過酷な環境においても、より精度が求められる分野における使用にも理想的だといわれています。
ロータリーエンコーダのメリットは、軸の回転変位量に応じて出力できること、アブソリュート方式の場合、起動時の原点復帰が不要であること、インクリメンタル方式の場合、回転方向も検出できることなどが挙げられます。
エンコーダには、光を検出する光学式と磁気を検出する磁気式がありますが、光学式は応答性に優れ、高分解能、高性能で、磁場の高い場所でも利用できるという特長が、磁気式は構造がシンプルでコンパクトな設計ができ、コストに優れ、頑丈で耐久性があるという特長があります。
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