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シンクロとレゾルバの歴史と関係

19世紀頃にシンクロ電機が開発されて以来、世界各地で人類は様々なモーターや計測器、センサーなどを開発してきました。そして現代では電動モーターの回転角を検出・制御するためにレゾルバが利用されています。

このページでは、シンクロとレゾルバの歴史や関係について解説していますので、ぜひ参考にしてください。

シンクロとレゾルバの関係

シンクロは送信側・受信側の回転機器を1セットとして構成され、送信側の回転運動に対応して受信側が回転します。シンクロは送受信の回転機器を同期させるための制御装置であり、回転位置の計測を行うことを目的とした機構です。

一方、レゾルバは回転する設備の回転角を検出する角度センサーであり、広義ではシンクロの1種として分類されています。

19世紀頃に誕生したシンクロは様々な分野で利用され、世界的に開発・研究が進められ、やがて現在の電気自動車のモーター制御などに使われるレゾルバへと発展してきた歴史を持っています。

そのため、シンクロはレゾルバの祖ともいえるようなものであり、シンクロからレゾルバへの変遷は人類がモーター機構や回転機器の制御について研究・研鑽を重ねてきた実績の象徴ともいえるでしょう。

シンクロとレゾルバの仕組み

シンクロ

シンクロはシンクロ電機とも呼ばれており、回転運動を発信する発信器と、発信器からの回転運動を受けて同期回転を行う受信機の1セットで構成されています。また、発信器と受信機の間は一次巻き線と二次巻き線で接続されており、どちらか一方の回転軸の位置を確認することでもう一方の回転軸の位置を確認することが可能です。

シンクロは発信器と受信機が正確に同期していることを前提として回転位置をチェックするシステムであり、例えば発信器と受信機をそれぞれ離れた場所に設置したとしても、片方の回転角度が変化すると残りの回転角度も変化するため、遠方にあっても互いの状態を把握できることがメリットになります。

レゾルバ

レゾルバは回転角度を検出するためのセンサーであり、モーターに巻き付けられた巻き線などの電気的変化を信号として検知し、回転軸の角度を認識することが可能となります。

レゾルバの仕組みとしては、モーター内で回転するローター部分と、固定されているステーターのリアクタンス変化で電気信号が生じる原理を利用して、その電気信号を検出することでローターの回転状況がどの状態(角度)にあるのか検出するというものです。

レゾルバのセンサー感度や検出品質を高める上で、巻き線技術が非常に重要になっており、必要十分量の銅線を適正な回数、さらに均一の感覚で巻き付けることが必須です。そのためレゾルバの開発の歴史は、ある意味において巻き線技術の精度向上の歴史に重なっているとも言えます。

シンクロとレゾルバの違い

シンクロは送受信機の1セットの連携によって回転位置を検出・確認するシステムであり、レゾルバは1つのモーター内にあるローターとステーターの働きによって回転角度を検出するセンサーです。

そのため、シンクロは単体で設置することができず、発信部と受信部の双方の機器を適正にセッティングしなければなりません。一方、レゾルバはローターが回転することでステーターとの間で発生する電気信号を受信システムで受け取って数値化するセンサーであり、受信側は回転機器でなくセンサーの信号を受け取って読み取るための機器が必要となります。

シンクロとレゾルバの変遷

初めてレゾルバが報告された例(1880年代)

工学分野における一般論として、世界で初めて公に同期制御機能であるシンクロ電機が報告されたのは1880年代とされています。最初のシンクロはフランスの鉄道分野への利用を目的としたシステムであり、動力部を備えた機関車の車輪の回転運動を、後続の連結車両の回転軸へ伝達して、全ての車輪の回転運動を同期させることで安定した運行を叶えるために研究されました。

このシンクロ装置は、その後に開発されるシンクロ電機の原型ともいえるものであり、M. Deprezによって開発されました。

なお、その後の1902年にはHanover工科大学のW.A.Thiermann教授によって開発された、シンクロ機能をサポートする技術が特許として登録されました。

軍用技術に活用されたシンクロ(1890年代)

1880年代に原型が発表されたシンクロですが、1890年代からすでに軍用技術としての転用が行われており、当時最先端とされたシンクロ技術を利用した軍艦や潜水艦などが開発されています。

軍艦や戦艦などに用いられたシンクロ技術は、大砲の照準を正確に制御するための角度信号通信用装置に搭載されており、照準を合わせるために動く大砲などの角度を、コントロールする側が適切にチェックできる体制が考案されました。

角度センサーとして使用されたシンクロ(1920年代)

1914年にはパナマ運河の活動に関してもシンクロの活用が報告されており、1920年代に入るとシンクロ機器の解析理論や検出技術についての研究が一層に盛んになり、垂直方向の運動検出や回転角度の検出などにも対応したシンクロが発表されました。

なお、1920年代にワイオミング州のシェール油田において、石油産出のための岩盤掘削作業と採油作業のバランスを保つためにシンクロが利用されています。

レゾルバの歴史のまとめ

現代のレゾルバは、シンクロの原型が開発されてから100年以上にわたって研究されてきた歴史を土台とするセンサーであり、シンクロもまたレゾルバの原型と考えることもできるでしょう。

現在、レゾルバはモーターを利用した電気自動車に搭載され、モーターの制御や回転運動のコントロールに使われたり、色々な工業分野の機器などに搭載されたりしています。

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