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オシロスコープの基本操作

システムの設定

オシロスコープをうまく利用するためには、以下4つのシステムへの理解が欠かせません。一つひとつ解説していきます。

垂直軸システム

垂直軸システムとは、縦軸つまり電圧方向の設定をする部分です。確認しやすいように波形を垂直方向に動かしたり、測定しやすいように振幅を変えたりできます。調整の際に触るのはvolts/divのつまみ。システム設定の際は「volts/divで画面の波形を最大化する」と覚えておきましょう。波形が画面の上下からはみ出さないように、正のピーク・負のピークをそれぞれ画面上下ぎりぎりに設定します。こうすることで、オシロスコープのアナログ/デジタルコンバーターのすべてのビットとADCが活用できるようになり便利です。また波形が最大化されるため、細かい部分や特徴を分析しやすくなります。

水平軸システム

水平軸システムは、横軸つまり時間方向の設定をする部分です。水平方向では、波形表示とサンプリングレートを考えた設定が大切になります。

波形表示

水平軸システムも垂直軸システムと同様、波形のサイズや水平位置の調整が可能です。変更に使用するのがsec/div(タイムベース設定)。各ディビジョンの持続時間を変更できるため、オシロスコープ画面内に表示される波形のサイクル数が変わります。メモリを大きくすれば波形の間隔も大きく、メモリを小さくすれば波形の間隔も小さく変化。位置コントロールを使用して、測定しやすい画面位置に波形を動かします。

サンプリングレート

水平軸システムで特に重視したい点が「サンプリング」です。水平軸システムでは、サンプル/秒またはサンプリング間隔ごとに設定したサンプリングレートに沿って入力信号がデジタル化されます。その後サンプルはメモリ保存され、波形記録の一部に。この時、サンプリングレートを高めると以下の影響が現れます。

  • 波形の分解能が上がり、細部が拡大される
  • 発生頻度が少ないイベントも捕捉できる可能性が高まる
  • 必要なストレージが増える

最適なサンプリングレートにするには、オシロスコープの帯域幅の最低2.5倍に設定することが推奨されています。入力信号のサンプリングレートが遅すぎると、精度の低下につながるエイリアス信号を取得してしまうリスクがあるため注意しましょう。

トリガシステム

測定したい範囲の電圧を捉えるためのトリガは、信号収集開始またはサンプル取得開始前に必要な条件を定義する必要があります。トリガの適切な設定は、より精度の高い測定・解析に繋がる重要なポイントです。トリガには、トリガの条件を設定するトリガタイプとトリガが発生しない場合の動作を設定するトリガモードが存在します。

トリガタイプ

最近のオシロスコープでは、エッジ・パルス幅・ラント・グリッチ・タイムアウトなど様々なトリガタイプを設定できます。中でも最も一般的なトリガタイプが「エッジトリガ」。定義した電圧の値を超えた場合にトリガがかかるものです。信号が増加している時と減少している時の2通りにおいて設定できます。エッジトリガは最初に考案されたトリガなこともあり、基本的にすべてのオシロスコープがサポートしている機能です。

トリガモード

トリガモードは「トリガが発生しない時にどう作動させるか」を設定するもの。オートモードとノーマルモードの2種類が基本で、両者を使い分けて測定を行うのが一般的です。

オートモード 一定時間以内にトリガ条件が満たされない場合、トリガを発生させるモード。トリガ設定前の波形の確認や信号をとりあえず捕捉したいときに利用します。画面上の波形は同期されない(静止しない)のが特徴です。実際のトリガが発生した場合は、トリガが優先されます。
ノーマルモード すべてのトリガ条件が満たされた場合に、正常な波形のみを捕捉するモード。トリガが発生しなかった場合、波形は捕捉されません。オシロスコープにおいて基本になるトリガモードです。

表示システム

新型のデジタルオシロスコープでは、様々な表示システムが搭載されており、信号のズームイン/アウト、カーソルを使用した手動測定などが可能です。周波数、立ち上がり/立ち下り時間、スルーレート、クレストファクター、パルスカウントといった項目の自動化機能も備わっているため、測定対象に合わせて利用すると便利でしょう。緑色の光で波形が表示されるだけのアナログオシロスコープの画面に比べ、信号解析の利便性も向上しています。

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