Reso-Meter®について
詳しく知りたい方へ
お気軽にご相談
ください
レゾルバの教科書 » オシロスコープの基礎知識 » オシロスコープで観測されるノイズについて

オシロスコープで観測されるノイズについて

測定においてノイズは頭を悩ませる問題の1つ。測定結果に影響を及ぼす上、発生源は内部・外部に無数に存在するため厄介です。オシロスコープでも、抵抗体の特性上のノイズ、隣接する機器からの影響で発生するノイズなど、様々なノイズが発生する可能性があります。対処するための機能やツールをうまく利用し、より精度の高い測定を目指しましょう。

ノイズの種類

熱雑音(ねつざつおん)

熱雑音とは、電子の熱運動によって発生するノイズのこと。電子部品の抵抗体の中にある自由電子は、絶対零度下でない限り常に不規則な熱振動を生じます。この自由電子の運動によって不連続に流れる電流が生まれ、ノイズが発生します。

ショットノイズ

ショットノイズとは電子が離散的な存在であるために起こる電流のゆらぎです。電子は非常に小さな粒子で、一度に全てが同じスピードで流れるわけではなく、少しずつランダムに流れます。このランダムな動きが、電流の中に小さな「ゆらぎ」を生じさせます。計測に影響を与えるほどゆらぎが大きくなるのは、電子の数が少ない場合のみ。電子の数が多ければ、流れる電流も大きくなり、相対的にゆらぎは小さくなります。

クロストーク

近接する基盤や配線の影響によって発生するノイズをクロストーク(漏話)と呼びます。測定対象に複数のセンサを取り付けて同時に計測を行なう場合に発生しやすいのが特徴です。高周波であるほど、また、信号線が長いほど、引き起こりやすくなります。もともとはアナログ電話時代に他の通話の内容が混信してしまうことを指していましたが、他の信号配線から影響を受けるノイズ全般を指すようになりました。

量子化ノイズ

量子化ノイズとは、アナログ信号をデジタル信号に変換する際に生じる誤差のこと。外部に原因があるのではなく、計測器の分解能が原因でノイズが生じます。連続データであるアナログ信号をデジタル化する際、連続性を完全には再現できません。サンプリング速度を上げることで連続データに近づけることはできますが、高速化にも限度があるため少なからず量子化ノイズが発生します。

ノイズを低減する機能

ほとんどのオシロスコープには、ノイズを低減して安定したトリガを設定する機能が備わっています。信号解析のためには安定した波形を表示させる必要があり、そのために安定したトリガの設定が重要です。

機能として挙げられるのは例えば、高周波除去や低周波除去、ノイズ除去のトリガ・カップリング、ユーザーの設定した遅延タイマの後にトリガをかける「ホールドオフ」など。高周波除去や低周波除去は不安定な成分やノイズを無視でき、ノイズ除去はトリガのヒステリシスを増加させランダム・ノイズを防ぐ効果があります。また、ホールドオフは繰り返し性のある信号に有効で、誤ったトリガを無視できます。

各モードや機能を調整し、安定したトリガ設定ができるかを試すことでノイズの低減につながります。

帯域制限フィルタ

帯域制限フィルタは、選択した周波数まで帯域を制限する機能です。選択した周波数を超える信号は減衰するか完全に除去されます。ノイズの低減はもちろん、安定したトリガの設定のためにも有効。特に不要なノイズが一定の周波数より上の場合に効果を発揮します。ただし、高速のグリッチまで除去される可能性がある点に注意しましょう。オシロスコープにおけるノイズ抑制の方法の中でも、容易に利用できるのが利点です。

アベレージ・アクイジション・モード

いくつかの時間サンプルにおける平均電圧を求め、ノイズをキャンセルする方法です。通常、ノイズは波形を取り込むごとにランダムに発生し、ときには大きく、ときには小さくなります。このランダムに発生するノイズの信号を何度も平均化することで0に近づけるのがアベレージ・アクイジション・モードです。

ノイズの入った信号をオシロスコープで測定すると、ノイズと測定したい信号が入り交じり区別がつきません。しかし、同じトリガ条件で測定を10回繰り返し平均化するとノイズのレベルが下がり、スパイクのように飛び出る波形が見えてきます。それが機器から出力されている本来とらえるべき信号です。

本来とらえたい出力信号は毎回必ず発生しているため、平均化処理しても値は変化しません。平均化する回数はユーザーによって設定でき、回数を増やすほどノイズが小さくなります。

弱点としては計測する波形が「繰り返し性の波形である」こと。平均化するためには何回も波形を取る必要があるため、測定対象の信号が単発信号だった場合、アベレージ・アクイジション・モードを利用できません

ハイレゾ・アクイジション・モード

ハイレゾ・アクイジション・モードは、アベレージ・アクイジション・モードと同様に平均化によってノイズを低減する方法です。違いは、取り込み波形におけるいくつかの隣接したサンプリングポイントを平均化して、1つのハイレゾ・サンプルを生成する点。これによって、単発信号でもノイズを軽減できます。

またハイレゾモードではランダムに発生するノイズと共に、量子化ノイズを軽減できるのも特徴です。例えば40mVの分解能を持つオシロスコープで波形を測定すると、サンプリングポイントは0mV、40mV、80mV、120mV、と40mVきざみでしか表示されません。それよりも小さい振幅やリップルは変動や動きが見えにくい状態になります。しかし、ハイレゾモードを利用するとサンプリングしたポイントを平均化した際に50mVや60mVなど、40mVの分解能では計測できなかった値もオシロスコープ上で表現可能に。こうして量子化ノイズが小さくなり、より高い分解能を実現できるのです。

ただし、ハイレゾモードにもやはり弱点があります。周波数帯域が犠牲になる点です。例えば、0V、0V、8V、0Vのサンプリングポイントがあったとしましょう。平均化する前は8Vの部分に尖った波形が表示されます。これをハイレゾモードで平均化すると、たった1つの2Vのポイントになってしまいます。上記は極端な例ですが、ノイズ以外の信号も平均化されてしまうリスクがあるため注意が必要です。

DSPフィルタ

DSPフィルタは特定の周波数を後処理で除去できる機能です。フィルタの周波数は自由に設定できるため、測定したい信号に合わせて調整できます。動作が遅くなる傾向があるため、シングルショットや表示の更新レートが遅い場合に有効です。重要な信号やグリッチなどをフィルタリングしてしまう場合もあるため、特性をよく理解して使用する必要があります。

レゾルバ位相差合わせで
こんなお悩み
ありませんか?
  • 手間時間が掛かる
  • 位相差精度をあげたい