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オシロスコープの基礎用語集

【あ行】

アクイジション・モード

オシロスコープの機能の1つで、サンプル・ポイントからオシロスコープに表示される波形ポイントをどのように取得するかを決めるモードです。さまざまなアクイジション・モードが備わっており、それぞれのモードで波形ポイントを決める方法が異なります。たとえば「サンプル・モード」はサンプル・ポイントをそのまま波形として表示する最もシンプルなモードで、そのほかには「ピーク・ディテクト」や「エンベロープ」、「アベレージ」「ハイレゾ」などがあります。

移動平均

デジタルオシロスコープに搭載されている機能で、平均値を計算する方法の1つです。ウインドを移動しながら指定個数の平均を計算し、新しいデータを取り込むごとに平均化対象範囲内の最も古いデータを捨てて、同じデータ個数の平均値を計算し直すのが特徴。平均値の計算は、手動で停止させるまで続きます。

インターリーブ

オシロスコープには、アナログ信号をサンプリングしてデジタル信号に変換するためのA/Dコンバータが搭載されています。一方でA/Dコンバータのサンプリング・レートには限界があるため、高速なアナログ信号をリアルタイムでサンプリングするための手法として用いられているのがインターリーブです。もともとはコンピュータやメモリなどの分野で使われていた技術で、オシロスコープに導入されている例はそれほど多くありません。

A/Dコンバータ

デジタルオシロスコープ内にある、アナログ信号をデジタル信号に変換する電子部品のこと。連続的なアナログ信号を0,1のようなデジタル情報に変換することで、ディスプレイへの表示や解析をしやすくします。A/Dコンバータはデジタルオシロスコープの心臓部。これがあることで、私たちは多彩な測定を可能にしています。

XYモード

ほとんどのアナログ・オシロスコープに搭載されている表示モードです。2つの信号のうち1つのチャンネルに入力された信号で横軸(X)を駆動し、もう一方に入力された信号で縦軸(Y)を駆動させるのが特徴。XYモードを使用することにより、2つの信号の周波数や位相の関係を一目で把握することが可能です。

エッジトリガ

エッジトリガは、波形の立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジの両方にトリガをかけ、波形を表示させる機能です。最も使用頻度の高い機能で、すべてのオシロスコープに搭載されています。エッジトリガでは対象となる測定信号の波形の傾きに着目し、電圧が何Vになったらトリガをかけるかを設定するのが特徴。電子回路の設計者が試作品の完成時に電子回路が想定通りに動作しているか確認する際、エッジトリガを設定して波形観測が行われます。

FETプローブ

FETプローブはアクティブプローブとも呼ばれ、受動プローブの限界を超えた高い周波数の測定や軽い負荷の実現が可能なプローブのことです。先端の入力部に半導体素子を用いており、受動プローブと違って面倒なプローブ補正が不要。受動プローブに比べてより優れた改善を図れる一方で、オシロスコープの性能を確認してから使わないとFETプローブの性能を発揮できないので注意が必要です。

また、オシロスコープ本体によっては電源が必要だったり、使用できるオシロスコープ本体が限られたりすることもあります。

MSO

MSOはMixed Signal Oscilloscopeの略称で、現在の汎用オシロスコープにおける代表的な機種群です。従来のオシロスコープはアナログ信号を観測するものでしたが、現在では低速デジタル信号も観測できるI2Cなどのデジタル入力付きが、ミドルレンジクラス以上では主流となっています。

MSOはアナログ信号とデジタル信号のための入力チャンネルを両方装備しているのが特徴で、アナログとデジタル信号の両方を表示できることから比較に最適なデジタル・オシロスコープです。

MDO

MDOはMixed Domain Oscilloscopeの略称で、スペクトラムアナライザ・MSO・DPOの機能を一台に統合した電子計測器です。

アナログ・デジタル・RFドメインの信号を時間相関をとりながら取り込み、信号観測を行うことが可能。任意の時間ポイントにおける周波数スペクトラム観測によってノイズ源を特定したり、時間の変化もしくはデバイスのステート変化における周波数スペクトラム変動を観測できたりするのが特徴です。各ドメイン間のイベントを詳細に観測できることで、作業時間の大幅な短縮を叶えられます。

アメリカに拠点を置く計測器大手メーカーのテクトロニクスが世界で最初に開発し、オシロスコープにスペクトラムアナライザの機能を統合した新ジャンルの計測機器として2011年8月30日に発表されました。

オーバーシュート

オーバーシュートとは、オシロスコープで矩形波(方形波)を観測する際に、立ち上がりの部分において波形が定常値となる基線を超過する現象のことです。または、それによって突出した波形部分を意味します。ちなみに、立ち下がり部分で起こる同じ現象はアンダーシュートと呼ばれます。

オッシロ

オッシロとは、1960年頃に使われていたオシロスコープや電磁オシログラフの表記です。現在ではオッシロではなく、「オシロ」という表記が使われています。ちなみに電磁オシログラフはレコーダの一種で、アナログオシロスコープが登場する前の1920年頃から使われていた波形測定器です。

オフセット

オフセットは、オシロスコープで入力信号の直流成分をキャンセルする機能です。DC成分の重なった波形を測定する際、オフセットを使用することでDC成分をキャンセルして波形を拡大することが可能。ただし、オフセットで調整できる電圧範囲は限られているため、信号に比べてDC成分が非常に大きい場合はキャンセルできません。

そのようなケースの解決策としては、入力カップリングをACに設定する必要があります。DC成分をキャンセルするには、オフセットとACカップリングを使い分けることが重要です。

【か行】

カーソル

カーソルは、オシロスコープやスペクトラムアナライザなどの波形表示において波形の数値を表示する機能です。画面に縦線や横線が表示され、測定波形と交差する場所の測定値がデジタル表示されます。カーソルを任意の位置に手動で動かして測定値を読み取ることも可能。マーカと呼ばれることもあります。

回路負荷

オシロスコープとプローブがテスト対象の回路と相互作用を起こすことにより、信号に歪みを生じさせることを言います。

拡大表示

オシロスコープにおいて記録した波形データの一部の範囲を指定し、拡大表示する機能です。機種によっては、ZOOM機能と呼ばれることもあります。ZOOMつまみがある機種の場合、表示される範囲をスクロールすることで表示位置を変更することが可能です。

カレントプローブ

カレントプローブ(電流プローブ)は被測定電流が流れるケーブルを接続し、電圧信号に変換する測定アクセサリです。オシロスコープと組み合わせて使い、測定対象の電波波形を観測します。

カレントモニタ

クランプセンサと組み合わせてオシロスコープやレコーダに接続し、電流波形を記録・観測する機器です。

グランド(GND)

グランドは電圧の基準を指す言葉です。電圧ゼロを示す「アース」と混同されがちですが、別物。グランドはあくまで回路内で最も電圧が低い位置のことで、必ずしも0Vにはなりません。一般的に使用するのは、プリント基板において複数の回路が存在する場合。複数回路においてグランドを定めて合わせることで、干渉による影響を防げます。

ゲイン確度

ゲイン確度(垂直軸確度)は、オシロスコープの垂直軸が信号の減衰または増幅をどれだけ正確に実行できるかの指標です。通常はパーセント誤差として表示されます。

高周波除去

高周波除去は、オシロスコープに搭載されているトリガ機能の1つです。トリガ・カップリングでHF RejectをONにすると高周波が除去され、波形表示が安定する場合があります。

高速オシロスコープ

2005年以降に発売された広帯域オシロスコープのことで、従来のオシロスコープ(汎用オシロスコープ)と区別するために高速オシロスコープと呼ばれています。汎用オシロスコープの上位機種というわけではなく、特定用途向けの通信アナライザです。

広帯域オシロスコープ

薄型TVやデジタルカメラ、携帯端末などの情報家電機器に高速通信インターフェース規格が搭載されるに伴い、半導体デバイスメーカーや家電メーカーからの強い需要によって2000年代以降に普及したオシロスコープです。

Wi-FiやMIMOなどの高周波の無線通信を評価する際にも不可欠なオシロスコープとなっており、400Gbpsなどの高速な光コヒーレント通信の開発にも用いられています。

高電圧差動プローブ

高い電圧を測定する際に使用する、作動入力型の電圧プローブです。オシロスコープのモデルによっては、プローブ用の電源が別途必要となることがあります。

高分解能オシロスコープ

従来のオシロスコープに比べ、より微細な信号変化や高速信号を捉え、細部まで観測できるオシロスコープです。オシロスコープの高分解能化は、ミドルクラス(1GHz帯域のモデル)において主要な仕様になりつつあります。

【さ行】

最大入力電圧

最大入力電圧とは、オシロスコープの入力端子に入力できる電圧の最大値のことです。最大値以上の電圧を入力した場合、誤作動を引き起こすほか、入力回路が破損する可能性があります。

サイン補間

デジタルオシロスコープには補間表示の機能もあり、サイン補間とはsinX/X関数で補間データを作成し、2点間を補間するものです。信号を正確に再現するには、最高周波数成分の少なくとも2.5倍のサンプルレートが必要と言われています。

差動

電気信号の伝送方式には大きく分けて、シングルエンドと差動の2つがあります。差動は2本の信号線を使って、1本にはプラスの信号、もう1本にはマイナスの信号を送り、差分で1か0を表現する伝送方式です。2本の信号線はどちらも接地されないので、シングルエンドに比べてノイズに強いという特徴があり、長距離・高速通信に向いています。

サンプリングオシロスコープ

サンプリングオシロスコープとは、高い周波数帯域の繰り返し信号の測定を目的としたデジタルオシロスコープです。サンプリングオシロスコープでの単発信号の測定はできません。ほとんどの機種において、本体とモジュールを組み合わせる構成になっています。

サンプリングレート

サンプリングレートはサンプリングにかかるスピードのことで、デジタルオシロスコープの最も基本となる仕様の1つです。1秒間にいくつのデータを取得できるかを示しており、この数値が大きいほど高性能となります。サンプリングレートの単位は「S/s」(サンプル・パー・セック)で、製品カタログなどでは「Sa/s」と表記される場合もあります。

時間軸

オシロスコープは一般的に垂直軸・水平軸・トリガシステムの3つで構成されており、3つの基本設定を調節することで入力信号が表示されます。オシロスコープの性能を引き出すには、適切な設定が必要です。時間軸となる水平軸では、水平軸を調整しながら画面水平方向の1目盛あたりの時間を設定します。

【は行】

分解能

測定の細かさや感度を表すもの。オシロスコープではA/Dコンバータのビット数を示すことが一般的です。分解能は測定時に信号を表示する画面目盛りの細かさに直結し、大きければ大きいほどより精度の高い測定が可能になります。

デジタルオシロスコープの分解能は8ビットであることがほとんど。縦軸が256分割される形になるため、電圧表示の有効桁数は2桁までになります。正確な電圧値を測定するには物足りない性能ですが、オシロスコープは画面の中で波形を把握するのが主眼であるため、8ビット程度で十分だとされています。

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