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ロータリーエンコーダの選定・選び方とは

ロータリーエンコーダは、機械の動きを電気信号に変換し、位置や速度の制御を可能にする重要なデバイスです。産業用ロボットや工作機械など、幅広い分野で使用されるこの装置の選定には、用途や環境条件に応じた慎重な判断が求められます。

本記事では、ロータリーエンコーダの基本的なタイプや方式、選定時のポイントについて詳しく紹介していきます。

目次

ロータリーエンコーダの選定・選び方

ロータリーエンコーダを選ぶ際には、使用目的や環境条件に応じた適切なタイプや仕様を選定することが重要です。以下に、選定時の主なポイントを順を追って解説します。

1. タイプの選択

ロータリーエンコーダは大きくアブソリュート形とインクリメンタル形の2つに分類されます。それぞれの特徴を理解し、用途に合わせて選びましょう。

アブソリュート形

アブソリュート形エンコーダは、電源が切れても位置情報を保持し、再起動時に原点復帰が不要で、エンコーダ内部に一意のコードが割り当てられているため常に絶対位置を認識できます。この特性から、絶対位置を知る必要がある工作機械やロボットなど、特に位置の正確さが要求される用途で多く使用されています。

さらに、立ち上げが早くノイズ耐性に優れるため、システムの信頼性が向上し、原点復帰を必要としないことで迅速な操作が可能になるというメリットがありますが、インクリメンタル形に比べて高価で複雑な構造を持つため、導入コストがかかる点がデメリットとされています。

インクリメンタル形

インクリメンタル形エンコーダは、相対的な位置や回転量を検出しパルス信号を出力する方式で、電源が入るたびに原点復帰が必要であり、位置を計算する際にはパルスをカウントします。

比較的低コストで速度や方向を計測する用途に適しており、モーターの回転速度や位置決め制御など幅広い分野で使用されています。そのメリットとして、構造がシンプルで安価、高速応答が可能で、設置も簡単なためコストを重視する用途に適していますが、デメリットとして電源断後に原点復帰が必要となり操作が煩雑になったり、位置情報が相対的であるため誤差が蓄積する可能性があったりする点が挙げられます。

2. 方式の選択

ロータリーエンコーダには、光学式と磁気式の2種類があります。それぞれの方式にはメリットとデメリットがあります。

光学式

光学式エンコーダは、LED光を使用しスリット円盤を通過する光を検出することで、非常に高い精度で位置を測定する方式です。高分解能と精度が得られるため、高精度の位置決めが必要な用途に適しており、信号のクリーンさが維持されやすく安定した出力が得られるというメリットがあります。

しかし、汚れや油に弱く耐環境性が低いため、埃や油分の多い厳しい環境下では誤作動のリスクが高まり適用が難しいというデメリットがあります。

磁気式

磁気式エンコーダは磁気センサを用いて磁場の変化を検出し、磁石の位置変化を読み取ることで位置情報を取得する方式です。シンプルな構造で耐環境性が高く、埃や油の影響を受けにくいため厳しい環境下でも安定して動作し、頑丈で長期間の使用に適しているというメリットがあります。

一方で、高分解能の実現が難しく、光学式に比べて精度が低いため、極めて高い精度が要求される用途には不向きというデメリットがあります。

3. 分解能の決定

分解能は、エンコーダが1回転で測定できる最大ポイント数を指します。用途の要求精度や機械のコストを考慮して適切な分解能を選びましょう。

計算基準

機械の要求精度の1/2~1/4程度が目安です。高すぎる分解能は必要以上のコストを招くこともあるため、適切な分解能の選択が重要です。

高分解能の注意点

高分解能を選択する際の注意点として、分解能が高くなるほど装置の価格が上昇し、ノイズに対して弱くなる可能性があります。特に高速で動作する装置ではノイズの影響を受けやすくなり、精度を確保するための対策が必要です。

また、制御回路の応答速度が求められるため、システム全体のパフォーマンスにも影響を及ぼす可能性がある点に注意が必要です。

4. 機械的仕様の確認

エンコーダの寸法や取り付け方法は、装置の設計に大きく影響します。取り付けが容易かつ正確に行える仕様の選定が重要です。

寸法

寸法を選定する際は、ハウジングの直径や長さ、出力軸の直径を確認し、設置スペースに適した製品を選ぶことが重要です。また、ソリッドシャフトタイプや中空軸タイプのいずれかを選択し、装置との相性や取り付け方法を考慮する必要があります。

取り付け方法

取り付け方法は、測定軸に対してどのようにエンコーダを取り付けるかを検討する重要な要素であり、正確な動作に大きく影響を与えるため慎重に選定する必要があります。

また、簡便な取り付けを可能にするマウントオプションを選ぶことで、メンテナンスが容易になり、トラブルを未然に防ぐ効果も期待できます。

5. 使用する環境条件の考慮

エンコーダが使用される環境に応じた仕様を選ぶことで、装置の安定性と寿命を確保します。

保護等級

保護等級を選定する際は、防塵・防水性能を示すIP等級を確認し、使用環境に適した等級の選択が重要です。IP等級は、ほこりや水に対する保護性能を示しており、水や油、ほこりが多い環境ではIP65以上を推奨します。

IP65以上の等級を選ぶことで、内部の電子部品が保護され、長期間にわたり安定した動作が期待できます。

耐振動性・耐衝撃性

振動や衝撃が加わる環境では、金属製スリット円盤を採用した製品を選択します。特に高振動環境下では、金属製の方が耐久性が高く、破損リスクを減らせます。

6. 出力波形・信号の選択

エンコーダの出力波形や信号形式は、接続する制御機器との互換性を確認する必要があります。

出力波形

出力波形は、一般的にデジタル信号(矩形波)が主流であり、多くの制御機器と互換性があるため、幅広い用途で使用されています。

一方で、特殊な三角波や擬似正弦波の出力を持つ製品も存在し、これらは特定の用途でより滑らかな制御を実現するために用いられることがあります。

信号形式

信号形式を選定する際は、電源電圧や出力電圧の仕様をカタログで確認し、接続する機器との互換性を確認しておきましょう。電圧仕様の違いにより接続可能な機器が異なるため、適切な選定が必要です。

また、長距離伝送を行う場合はラインドライバ出力を選択することで、ノイズの影響を抑え、安定した信号伝達を実現できます。

7. 最大応答周波数の確認

エンコーダの最大応答周波数は、機械の最大速度や分解能に直結しており、正確な速度制御や位置決めを行うためには、この仕様を適切に確認することが重要です。計算方法としては、機械系の最大速度とエンコーダ分解能を掛け合わせた値を基準に、その値がエンコーダの応答周波数を超えないことを確認します。

また、高速動作時にはデューティ比の変化にも対応できる制御回路が必要であり、特に応答周波数付近ではパルスのデューティ比が変化し、信号が不安定になる可能性があるため注意が必要です。

まとめ

ロータリーエンコーダの選定では、使用目的や環境に応じたタイプや方式の選択が重要です。アブソリュート形は正確な位置決めが必要な用途に、インクリメンタル形は低コストで速度や方向を計測したい用途に適しています。光学式は高精度ながら環境耐性が低く、磁気式は耐環境性に優れる一方で精度がやや劣ります。

分解能や最大応答周波数、取り付け方法、保護等級なども慎重に検討し、装置や環境に適した仕様を選ぶことが重要です。また、出力波形や信号形式の互換性を確認し、ノイズや伝送距離に対応した設計を行うことで、システムの信頼性を高めることができます。

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