オシロスコープは、電気信号を波形として画面上に出力し、時間経過による信号の変化を観察できます。ここでは、オシロスコープの波形の種類について解説していきます。
オシロスコープに表示される波形には、以下の種類があります。
三角法の授業に出てくるsinグラフの形と同じように曲線を描く、数学的な調和が取れた基本的な波のこと。ACコンセントの電圧波形や、シグナル・ジェネレータのオシレータ回路で生成されるテスト信号なども、ほとんどが正弦波になります。
「減衰正弦波」は正弦波の一種ですが、時間とともに、少しずつ振幅が減少していく、特別な正弦波です。
方形波は、凹凸状の波形で、基本的には、規則的な間隔でオン・オフなど、高低を繰り返す電圧です。増幅器の標準的なテスト信号などに使用されます。テレビやラジオ、コンピュータなどの回路で、タイミング信号として使われることも多々あります。
矩形波は、方形波とよく似た形ですが、高低の時間間隔が1:1ではないという特徴があります。矩形波は、デジタル回路を解析する際、とくに重要だといわれています。
のこぎり波・三角波は、のこぎりの歯のように見える形状の波形。アナログ・オシロスコープの水平掃引やラスタ・スキャンなど、電圧を直線的に制御する回路でよく見られます。のこぎり波・三角波では、電圧は一定の割合で変化していきますが、この変化は「ランプ」と呼ばれます。
ステップは、一気に右肩上がりになった後、そのまま水平を保つなど、電圧が突然変化する波形。電源スイッチをオンにしたときなどによく見られます。
パルス波形は、一旦、凸状に上がった後にゼロ地点を示し続ける形で、電源スイッチをオンにしてすぐにオフしたときなどに見られます。
上記の波形が一種類だけでなく、正弦波、方形波、ステップ、パルスなどが混ざったものもあり、その信号情報には振幅や位相、周波数の変化が含まれています。このような信号を観測する際には、低周波と高周波の違いを輝度の濃淡で表現できるようなオシロスコープが適しています。
信号波形の電圧や電流が一定の周期で同じ形で繰り返されるものを「周期信号」、波形間隔が常に変わるものを「非周期信号」といいます。
また、2つの信号のタイミングが一致しているとき、その信号は「同期」しているといわれ、両者のタイミングに関係がない場合は「非同期」といいます。
音波、脳波、海の波、電圧の波のように繰返し起こる現象を一般的に「波」と呼びますが、オシロスコープでは、電圧の波を測定していきます。
振動や温度、電流や電力などは、センサで電圧に変換することが可能です。その電圧の波を測定できるのがオシロスコープなのですが、その波形を見ると、さまざまなことがわかります。波形の高さが変化しているときは電圧が変化しているということになり、水平な線が表示された場合は電圧変化がなかったということになります。
右上がり、右下がりなど、斜線のようになった場合は、電圧が一定の割合で増加・減少し、鋭角的な部分が表れた場合は、電圧の急激な変化が起こったということがわかります。
オシロスコープは、この波形をいかに正確に再現できるかということ(シグナル・インテグリティ)がとても重要になります。
シグナル・インテグリティを実現するためには
などがポイントになります。
周波数とは、交流電流、音波、電波などの周期的な現象において、1秒あたりどれくらい振動するかを表したもので、振動数とも呼ばれます。単位はHz(ヘルツ)です。
周期は、一般的には一定の時間間隔のことを指しますが、波形観測などの際には、波が1回上下するのにかかる時間のことをいい、単位は秒(sec)となります。
回路の2点間の電位の差のことで、電圧を図る単位としてV(ボルト)が用いられています。2点のうちのひとつは0V(ゼロボルト)にされることが一般的です。
電圧と電流は混同されることが多いのですが、電圧は電気を流すための圧力であり、電流は回路を流れる電気の量になります。
振幅とは、物体が振動する時の、中心から最大変異までの距離のことをいいます。波形測定においては、回路の2点間の電位差を差し、通常、0V(ゼロボルト)からの最大電圧の値を指しています。
位相とは、繰り返される現象の、一周期のうちどの位置にいるかを表す量のことをいいます。単位は「rad(ラジアン)」です。
同一周波数の2つの交流の位相の差を位相差といい、位相のずれが生じている状態です。位相のずれが起こると、消費されない電力が生まれてしまいます。