電子機器を設計、製造、修理する技術エンジニアにとって、欠かすことのできない計測器、オシロスコープについて。用途や原理、測定できるもの、使い方などの基礎知識をまとめています。
オシロスコープとは、電気信号(電圧)の時間経過に対する変動を測ってグラフにし、波形として画面に表示して観測する測定器のこと。通常、目で見ることができない電気信号の変化を、波形として視覚的に確認できます。
オシロスコープの画面では、画面の水平軸(横軸)が時間の経過を、垂直軸(縦軸)が観測する信号の電圧を表しています。一般的に、高周波信号まで観測できるものが多く、波形の分析や高速現象の観測、過度現象の観測など、電気計測の分野で多く用いられています。
オシロスコープを使用することで、電子回路内の信号波形を確認し、きちんと動作しているかを検証したり、故障箇所を突き止めたりできます。このほか、学校の授業における波形観測や、DIYで電子工作した回路の電圧測定などにも用いられています。
目に見えない電気信号の変化を波形として表示できるオシロスコープは、いわば、エンジニアにとっての目でもあり、電子機器を設計、製造、修理する技術者にとって欠かすことのできない計測器であるといえます。
ブラウン管の電子銃から放出した電子ビームを、前方にある二組の偏向板に加える電圧を加減しながら、水平方向や垂直方向に進路を曲げて、スクリーンに衝突させて波形を描いていきます。
波形を静止させて見やすくすることを「同期」といいますが、同期をとるための方法には「同期掃引方式」と「トリガ掃引方式」があります。
同期掃引方式は、掃引用のノコギリ波を発生させて、スクリーンの波形を見ながら周波数を手で調整する方法です。トリガ掃引方式は、観測信号がないときにはノコギリ波が発生せず、信号があるとノコギリ波が自動的に発生してスクリーンに波形を描いていくため、手動で静止させる必要はありません。
オシロスコープで測定できる項目は、基本的には以下の3つです。
一般的なオシロスコープの操作方法を紹介します。
オシロスコープは、大きく分けて、アナログオシロスコープ、デジタルオシロスコープと2つの種類があります。
オシロスコープの波形には、正弦波、方形波、矩形波、のこぎり波、三角波などの種類があります。それぞれの波形の特徴についてまとめています。
オシロスコープを開発・販売している国内外のメーカーを紹介。それぞれのメーカーが取り扱っているオシロスコープの特徴について紹介しています。
オシロスコープにまつわる疑問や質問を集めました。オシロスコープの知識豊富なプロが詳しく解説しています。
オシロスコープを使いこなすには、性能や構造などを理解することが大切です。そのためにも押さえておきたい、オシロスコープの基礎用語を解説します。
信号の検出とオシロスコープまでの信号伝送を行う機器をプローブといいます。プローブを測定対象物に近づけると物理的信号や電気的信号を検出して、検出された信号を測定器へ送ることで正確な測定値が分かる仕組みです。
オシロスコープのトリガとは何を意味するものなのかだけではなく、数多くあるトリガの種類と役割を紹介します。それぞれのトリガについて概要を把握することで状況に適したトリガが分かり、効率的な環境構築が可能になります。
オシロスコープの機能や性能は数々あり、購入する際は測定したい信号や使用状況に応じた選択が必要になります。費用面だけ重視するとチャンネルが足りずに測定できなかったり、逆に機能面を重視しすぎていらぬ機能にお金をかけてしまったりする可能性も。オシロスコープ選びの基本的な考え方や留意したい11のポイントをまとめました。
リンギングとは電子回路内で信号波が反射・振動することによって起こる「さざ波のような電圧・電力出力」のこと。測定のノイズになり、装置の機能低下に繋がることもある現象で、できるだけ発生を抑えるための対策が必要です。
オシロスコープは様々なシステムがあり、測定対象に合わせてうまく設定することで精度の高い計測・分析に繋がります。特に最近のオシロスコープはデジタル化が進み機能が多様化。まずは基本的な操作を押さえるのが測定の効率化の一歩になります。
オシロスコープの活用方法の1つとして、EMIデバッグがあげられます。EMIデバッグは電磁波障害を引き起こしている不要なノイズを除去し、電子機器をEMI規格に準拠させるプロセスのこと。不要なノイズが発生している場所を特定するためのツールとして、オシロスコープが使用されています。
折り返し雑音はエイリアシングとも言い、十分な速度で標本化(サンプリング)を行わなかった場合に本来存在しないはずの波形が発生する現象です。折り返し雑音が発生すると正確な測定の妨げになるため、対策が必要になります。
機器の内部・外部問わず無数に発生要因があるノイズは、オシロスコープでもしばしば観測されます。例えば電子の特性や周辺機器からの干渉によって生じるもの、信号の変換時に生じるものなど。一般的なオシロスコープには予めノイズを低減させるための機能が備わっており、状況に応じて活用することで精度の高い測定につなげられます。
オシロスコープで正しい測定結果を得るためには、そもそもオシロスコープで適正な計測が行われていることをチェックしておかなければなりません。
オシロスコープの校正は、オシロスコープの測定環境が適切な状態を維持できるよう補正や調整を行うことであり、定期的な校正を実施して初めて測定結果の信頼性や確度が保たれます。
オシロスコープの故障は作業効率に大きな影響を与えるため、その原因を理解し、適切な対策を知っておくことが大切です。物理的なダメージや湿気、ユーザーエラーといったよくある故障原因と、日々できる予防策を詳しく解説しています。もし故障が発生したときの対処法も紹介していますので、オシロスコープのトラブルを未然に防ぎたい方はぜひ参考にしてみてください。