プローブは信号を検出してオシロスコープに信号伝送を行う機器です。測定対象物に近づくことで信号を検出して、測定器に信号を送ると正確な測定値が分かる仕組みになっています。プローブを使用しなければ、オシロスコープは正確な信号を得られません。精度が高い測定のためには、オシロスコープに合ったプローブを使う必要があります。
オシロスコープにおけるプローブの役割のひとつは、測定対象への負荷を軽減させることです。電子回路を測定するためには接触が必要ですが、電子回路に接触すると負荷がかかるため正常な値は測定できません。プローブは測定対象に接触しても、負荷を大きく軽減させて正しい数値の測定が可能です。回路への影響はありますが、装置本体で測定を行うよりも影響は小さくなります。
オシロスコープで測定する周波数の帯域を確保する役割もあります。本体とプローブは測定できる周波数の帯域がそれぞれ決められていますが、プローブを本体に装着すると設定されていない周波数帯域の確保が可能です。新しく得られる周波数帯域は、本体装置とプローブの組み合わせによります。
プローブにはノイズの混入を防ぐシールド被覆線が使われているため、外部で発生するノイズを防ぐ役割もあります。本体装置を単体で使うと、外部から流入する細かなノイズが観測波形に混じってしまいますが、プローブを使用することで正常に出力が可能です。
プローブは高インピーダンスによって測定対象となる回路への影響を軽減できます。プローブの入力インピーダンスは、通常であれば1MΩです。本体装置の入力インピーダンスも1MΩですが、製品によっては50Ωと切り替えられる場合もあります。プローブの入力インピーダンスに合わせて本体装置の入力インピーダンスを切り替えることができれば、回路への影響を軽減できるでしょう。
ケーブルからの影響を軽減して本体装置で測定した波形がキレイな方形波になるためには、コンデンサの調整が必要です。並列調整ができるコンデンサが一般的ですが、場合によっては調整コンデンサを使用することもあります。
オシロスコープで高電圧を計測可能にすることを目的に、信号を減衰させるアッテネータが搭載されています。プローブで正確に計測するためには、オシロスコープ入力とプローブが同じアッテネータに設定されている必要があります。
コストがあまりかからない汎用的な受動プローブは、多くのオシロスコープに標準装備されています。アクティブ電圧プローブほど性能はよくありませんが、堅牢性に優れており、さまざまなアプリケーションの信号観測に合うダイナミックレンジを備えています。
グランド基準で12Vまでの高速な信号の計測に対してアクティブ・プローブを使います。プローブ負荷が小さいとされる高インピーダンスや高周波数の回路エレメントの計測向きです。回路へのプローブ負荷の影響をなるべく抑えるため、約1pFほどの入力容量の小さなプローブを選ぶとよいでしょう。
-60~+60VDCのDCパワーレールのリップル測定に適したパワーレール・プローブ。低ノイズで高オフセット・レンジを備えています。
ハイスピード・シリアル規格で使用されます。高性能の周波数帯域性能と信号忠実性があり、信号の細部まで確実に観測することが可能です。1本のプローブ、1回のプローブ接続で差動測定・シングルエンド測定・コモンモード測定を行えるものもあります。
高電圧の差動プローブは2つのテスト・ポイントで両方ともグランドがない場合、2つの差動電圧の測定で使います。コモンモード除去性能が優れていて、非グランド基準の測定・フローティング測定・絶縁測定に適しています。
40kVまでのグランド基準の信号測定で使用するプローブです。ただしグランド基準ではなく絶縁入力やフローティング入力の測定のために設計されたプローブもあります。回路への影響を抑えるため、入力容量の小さな(4pF未満)プローブを選ぶことが必要です。
非絶縁型プローブでは観測できない高速フローティング信号の検出が可能です。ゲートドライバ・Vgs・Vds・Isの特性評価やハイサイドとローサイドの時間間隔における特性評価などの用途で使用します。
電解プローブの従来持っていた欠点をカバーして、金属素子のないセンサ部分を保持しているのが電解プローブです。電気工学効果を用いた正確な計測・評価が可能で、電界を乱さない光ファイバの非侵襲性やノイズを拾わないことを特徴としています。
入力信号への応答で期待される状態から振幅がずれていることを指します。波形の急な遷移のすぐ後に発生することが多いです。またアベレーションは「リンギング」と呼ばれることもあり、パルス応答の最終的レベルから外れたプラス・マイナスの割合(%)として表します。
電流トランス・コアのエネルギー処理能力を電流時間積で指定します。パルス幅とその間の平均電流の積が電流時間積を超えるとコアが飽和。発生した波形の部分はクリップして切り取られたようになります。電流時間積を超えなければ、プローブはリニアな信号電圧を出力して正確な測定値が出せます。
プローブには減衰比が必ずあります。減衰比はプローブが信号振幅を減少させる量のことで、減衰比の代表例は「1:1」「10:1」「100:1」です。1:1プローブで減衰はありませんが、10:1プローブではプローブ先端での揺れ幅の1/10に、100:1プローブでは1/100に信号を減少させます。プローブ減衰比によりオシロスコープの測定範囲を拡大することが可能です。
電圧検出プローブの確度とは、プローブのDC信号の減衰に関係する確度。測定するには、オシロスコープの入力抵抗が必要です。また電流プローブの確度は「電流-電圧変換」の確度を指し、電流トランスの巻線比や巻数、終端抵抗器の確度によって決まります。
プローブの周波数帯域とは、プローブの応答において出力振幅が70.7%(-3dB)まで低下した時の周波数のこと。プローブには周波数帯域があり、10MHzプローブは10MHzの周波数帯域、100MHzプローブは100MHzです。AC電流プローブをはじめとする一部のプローブにおいては、周波数帯域の低い方の限界も定められています。
プローブ容量はプローブ先端における容量を指し、プローブ入力容量はパルスの測定に影響を及ぼします。入力容量が低いほど立ち上がり時間の測定における誤差は小さくなり、パルス幅がプローブのRC時定数の5倍以上あればパルスの振幅に影響が出ません。それ以下の場合は出てきてしまいます。